みなさんは、皮膚についてどのくらいご存知ですか?
小型犬だと、皮膚は皮下組織まで含めると体重の約20%を占め、摂取したタンパク質の約30%が皮膚の維持に利用されます。皮膚は、こんなにも栄養を必要としています。わんちゃん、ねこちゃんと人間の皮膚との違いをよく知っていただき、皮膚トラブルを防いであげましょう。
1.皮膚の働き
わんちゃんやねこちゃんの皮膚は、さまざまな刺激物質や微生物から身体を守ったり、体内の水分や体温を調整する重要な役割を担っています。皮膚が正しく働くためには、丈夫で健康な皮膚の構造を保つことが大切であり、そのためには正しいスキンケアが必要なのです。
2.皮膚の構造
わんちゃんやねこちゃんの皮膚は、一番外側から表皮、真皮、皮下組織の順番に構成されています。特に、身体のバリアとして重要なのはもっとも外側にある表皮です。表皮は上側に向かって成長していきますが、最終的に膜状の角質層となり、ゆっくりと剥がれ落ちていきます。わんちゃんの表皮の成長は約3週間の周期で繰り返されており、丈夫な角質層を作り出しています。スキンケアを行なって、丈夫な角質層とうるおいのある肌を保てば、身体のバリアの維持にもなるため、わんちゃんの健康につながります。
3.人間と犬猫の皮膚・被毛の違い
表皮の薄さ
人間の赤ちゃんの肌は薄く、成人の約半分の厚みと言われています。しかし、犬猫の表皮は人間の赤ちゃんよりもさらに薄く、約0.1㎜以下しかありません。
被毛の多さ
人間の場合は、ひとつの毛穴から1~数本の被毛が生えています。一方、わんちゃんやねこちゃんの場合はひとつの毛穴から多いと数10本の被毛が生えており、長くて太い一次毛と短く遅い二次毛(下毛)の2種類に分けられます。プードルやシーズーなどは下毛がはっきりと区別できません。
季節による換毛期
わんちゃんやねこちゃんは、日照時間や気温の変化が成長サイクルに影響して、主に春と秋に下毛が生え変わります。柴犬や秋田犬などは換毛期が明らかですが、はっきりしない犬種もいます。
皮膚のpH(ペーハー)
わんちゃんの皮膚のpHは6.2~7.8で、人間の肌(pH約4.8、弱酸性)やねこちゃんの肌(pH約6.4)よりも高く、細菌が増殖しやすい環境にあるといわれています。
汗の種類
人間は、エクリン汗腺からサラサラとした汗をかきますが、わんちゃんやねこちゃんはこれが非常に少なく、足の肉球に分布しています。その代わり、アポクリン汗腺という、毛包にくっついている腺から、べたつきのある汗をジワジワと出します。
お肌のチェック方法
以下はわんちゃんやねこちゃんの皮膚の病気の早期発見のチェック項目です。当てはまる症状がある場合は、当院までご相談ください。
- 脱毛しているところがある
- 皮膚の赤みが目立つ
- 常にかゆがっている
- 脂肪腫が多い
- べたつきが目立つ
- ブツブツができている
- 不快なにおいが強くなった
代表的な皮膚病
膿皮症
元々皮膚上に常在している細菌が、何らかの原因で過剰に増殖し、赤い発疹、脱毛、かゆみなどの症状が出てきます。
マラセチア皮膚炎
常在菌の1つである、マラセチア菌(カビの仲間)が過剰に増殖することによって皮膚炎が起こります。皮膚のかゆみ、赤み、べたつきなどの症状があります。皮脂の分泌が多いワンちゃんが発症しやすいといわれています。
犬アトピー
さまざまな物質へのアレルギー反応によって皮膚炎を起こします。さらに、アトピーは皮膚のバリア機能にも問題があるため、膿皮症やマラセチア皮膚炎を起こしやすい傾向にあります。室内飼育犬に多く見られ、お腹側を中心とした強いかゆみや赤み、浮気、脱毛などが出てきます。3歳までに発症することが多く、遺伝的な体質が関係しているといわれています。
皮膚病の治療
シャンプーを用いることがあります。効果的な使い方がありますので、下のような説明文章を用いて当院では、説明しています。